あいつとクッキーと俺

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「嫌じゃ……ないのかよ、俺のこと。だって俺はお前を……」  そういう目で見てるのに。  そこまでは言えず言葉を途切らせた。  この前言っちゃったんだし今更隠す必要もないが、改めて告白しようとするとやはりどうにも。  視線を少し下げ、じっと見つめてくるユウヒから逃げた。  するとユウヒは何を思ったか、床に手を付き、しかしクッキーは放すことなく、身を乗り出して俺に迫ってくる。 「ユウ、んぐッ!?」  ところの、いきなりの攻撃。持っていた食べかけクッキーを口の中に問答無用で突っ込まれた。  俺はちょっと涙目。結構痛いよユウヒさん。  珍獣仕様で焼いたからクッキーは大きめ。アメリカの田舎のクッキーくらい。  口には収まりきらなかったそれを咄嗟に持ち直す。  俺のそばに手をついたままこっちを見上げているユウヒには、抗議の視線を送りつけた。 「ッなにすん…」 「僕はアキラを嫌いにならないよ」 「……え」  クッキー持ってポカン。近頃の俺はこういう絵ヅラばっかだ。  ユウヒは新たな一枚を早くも手にし、俺ではなくクッキーを見ながら続けた。 「クッキーおいしい」 「へ?」 「この前のケーキもおいしかった」 「ケ、ケーキ?」 「その前に作ってくれたでっかいプリンも良かったし、チョコレートの買い出し頼んでも絶対に選択外さない。アキラ以上に僕の好み分かってる人ってきっといないよ。クラスの女の子がよくお菓子くれるけど実はあんまり好きじゃないんだ。僕はアキラがいなかったら低血糖で死んでるかもね」 「…………」  どっからツッコめばいいんだ。色々満載すぎて戸惑う。  でもとりあえずはコレか。どの口が低血糖なんて単語使ってんだこの野郎。
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