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「なんでちょっと引いてんの?」
「え、いや別にそんなことは……」
「嘘つき。このヘタレ。嬉しくないの? この状況ってアキラにとって物凄く嬉しいはずだよね」
バカとカワイイの次はヘタレって言われた。しかもなんか故意にやってるみたいな発言を受けた。
そもそも状況がおいしすぎるから逆に引くんだ。
とある部分に血液が集まりそうになってんのを抑えてんのに、コレどうしてくれんだよ。
なんていう裏事情は言えない。たぶんバレてるけど。
とにかく今は理性第一でユウヒを軽く押し返した。
しかしその瞬間ピクッと、あんまり動かないユウヒの眉間が少しだけ動いた。
黒いオーラに頬が引き攣る。
「ユウヒ、さん……?」
「…………僕がここまでしてあげてるのに」
低っ。声もそうだけど雰囲気が低音。
肩がビクッと揺れた俺はヘタレと言われても文句が言えない。あたふたしながら弁明を試みた。
「違くてッ、あの、そりゃ、すげえ状況的には嬉しいけど……っ」
「じゃあ何。迫ってよ」
「はあっ?」
「なんとかは男の恥って言葉知らない?」
え、何それ。これって据え膳だったの。
「どういう……」
「だから。それを僕に言わせるの?」
珍しくイライラしてる。表情は変わらないけど俺には分かる。
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