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無様に混乱状態へと陥っている俺を真っ直ぐ見上げ、逸らすことなくこの目を射抜いてくるユウヒには遠慮がない。
「アキラが作ってくれるお菓子は全部僕の物だよ。だからアキラも僕のモノでいなきゃダメ。お菓子も、それを作るアキラも、みんな僕の」
「何言って……」
「今ので分かって」
疑問の言葉は即刻はね付けられた。
接続詞はおそらく間違っているし、なんとか理解しようとすれば主物はお菓子で俺は従物になる。
ああほらな、やっぱりな。オマケだろ。俺はお菓子の。
「……ごめん、卑屈にしか物事考えられなくなってる」
「そうっぽいね。アキラは顔に出やすいから何考えてるか大体分かる」
お前が顔に出なさすぎるんだよ。そう言ってやろうとしたけどやめた。
床に付かれていたもう片方のユウヒの手が、俺の首に回されたからそれどころじゃなくなって。
「え……」
「こうすればアキラもさすがに分かるんじゃないかな」
「ぅ、おッ……」
直後、体に負荷が一気にかかってきた。ユウヒの腕が回されている首と、掴まれたままの手首。
ユウヒが後ろへ倒れるようにして突如俺を引っ張ったせいで、前方に向かってなだれ込むことになった。
ガタン、ばふっと。
「ッお、ま……!」
なぜか、ユウヒの上にいる。ユウヒの顔の両脇で、床に両手をついている。
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