あいつとクッキーと俺

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 強引に引っ張られたその先で押し倒した、というか押し倒させられた俺の下から、じっと見上げてくるユウヒはなんつーか。  可愛いを通り過ぎて、いきなりの、扇情的なご様子。 「ッ……」  ゴクリと飲みこんだ生唾。ああ、耐えろ。俺、耐えろ。  なんて思っているそばから、ユウヒが両手でまたしても俺の首に手を回してくる。スルッと。 「なんっ……」 「どう?」 「ど、どうって……」 「僕が押し倒してもよかったんだけどアキラはこっちの方が嬉しいかなって」  そりゃ親切にお気遣いいただきどーもッ。 「ユウヒ、ちょっと……一旦離して」  かなり惜しい。それでも俺は頑張った。  どうにかこうにか自分に言い聞かせて腕を立たせようとすると、しかしユウヒの両手がそれを阻む。  首をグイッと引かれた。一気に縮まった距離。息が止まる。 「……頼む。放してくれ」 「なんで?」 「まだ駄目だとりあえず駄目だまだもう少し早い」 「交換日記からなんて言い出したら八つ裂きにして海に放るよ」 「…………」  勢い余って殺されんのか俺。 「ッじゃなくて段階っつーか……まだ俺なんも言えてねえじゃん。お前が俺からちゃんと聞いたのって……ヤ、リたいってとこだけだろ」  言っていて非常に恥ずかしい。ところがこの珍獣ときたら。 「別にいいけど」 「いい訳あるかッ!」  それでいいのかよっ。お前いつからそんな奴になったんだッ。シレッととんでも発言すんな!
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