俺の幼馴染

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 朝食の時間なんてなかったはずだから、空腹感に満ちているだろうユウヒの脳内は十割ケーキで埋まっている。  わざわざこうして服を直してやっている間も、無表情ながらにケーキへの執念は募っているようで不満そう。  そんなのいいからとっとと食い物寄越せ。  その目がそう訴えかけてくる。  だけど俺だって負けない。シャツのボタンを素で掛け違えているような奴は放っておいちゃマズイ。  シャツのボタンをちゃんと留められない野郎がブレザーの前をしっかり閉じるはずもなく、寝起きの失態をこれでもかってくらい思いきり曝け出している。  この格好でトロトロと登校してきたのかと思うと、我が幼馴染ながら泣けてくる。  しかも本人は全く気にしていないときた。  だいたいズボンだって下がりすぎだ。というかコイツの場合は明らかにサイズが合っていない。 「ユウヒ……。長さ切れよコレ、いい加減に。ベルトがベルトの役割果たせてねえから」  あからさまにダボッダボ。  こいつは普段から甘いもんばっか食ってるくせに昔から太らない。一番きつく締めているベルトも、ユウヒの細い腰には全くの無意味だ。  ガキの頃から良く食う奴だけど、ユウヒの偏食はとんでもない領域にある。  基本的に好き嫌いはない。家庭の食卓に何が並んでいても、文句は付けずに平らげる。  ところがとにかく甘い物が好きだから、少しでも放っておくと延々お菓子を食べ続けている。
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