俺の幼馴染

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 こいつは俺にそれを今日もやれと。  久々に田中から理不尽ないじめを受けなくて済むと思ったのも束の間、今日も今日とて訳の分からない幼馴染十カ条を復唱させられろと。  田中は俺で遊ぶためだけに、幼馴染十カ条とかいう奇妙な条項を作り出した。  その一、幼馴染たるもの遅刻しそうな相手の首には縄でもつけて引っ張ってくるべし、から始まるフザけたものだ。  幼馴染十カ条と言うより、ユウヒに対する俺の心得だろう。  これが十項目に及ぶから精神的に結構くる。 「ホームルームくらい出とけよ。最近田中のいじめが前より激しく…」 「一緒に行く?」 「話を聞……え?」  言い分を途中で止められて反射的に言い返そうとするも、思わぬ誘い。  聞き間違いか。そう思って見返した。  動じるって事を知らない冷静な目が、じっと俺を見上げてくる。 「サボろ。一緒に」 「は……」 「腹減って死にそう」  そうだろうよ。さっきからグーグー言ってる腹の虫が聞こえてくるからな。  一緒に、という誘いを受けるなんて相当珍しいことで、どういう反応を返せばいいのかすぐには分からなくて困った。  だけどそうやって俺が固まっていると、ユウヒが俺の腕を取ってさっそく歩きだしている。
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