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第15話 警報
王都に帰ってきた。
流石に魔法の消費が激しい。
魔力が250くらい減ってるかな。
門番さんは飛んできた僕を見ても驚かなくなった。
挨拶をして、城に入る。
「ただいま~って、うわっ」
ドアを開けた途端、ウェンディが抱きついてきた。
「心配したんだから・・」
「おかえりなさいませ」
レーシャ王女も声をかけてきた。
「あの、お願いがあるのですがわたくしを呼び捨てにしてくれませんか?」
「レーシャ・・でいい?どうしたの突然」
「もっと親しくなりたいのです」
「それじゃ、僕からも・・丁寧語はやめて砕けた感じで話せない?」
「ど・・努力します」
いきなりは無理だろうけど頑張ってもらおう。
和やかに話していると、外から鐘の音がきこえた。
カンカンカンカン・・。
王都に来て初めて聞く音だ。
どうしたのだろう。
「トワ居たか。まだ未確認だが、魔物が王都に現れたらしい。冒険者たちは向かっているようだが、行けるか?」
「アスマさん・・トワは・・」
ウェンディが何か言おうとして止める。
やば・・魔力ずいぶん減ってるかも。
でも。
疲れているとか言ってられない。
「はい。行けます。一緒に行くんですよね」
「もちろん」
城を出たところでカイ兄に会う。
丁度良かった。
「カイ兄、マジックポーション余ってる?」
「トワか。ああ、あるけど・・どうした」
「さっき飛行魔法で結構使っちゃってさ」
「ほら、特別だぞ」
青い小瓶を渡された。
「試作品だが、普通のより多く回復するはずだ」
蓋を開けて一気に飲む。
苦いが我慢して呑み込んだ。
『ステータス』
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トワ・ウィンザー 15歳 魔法使い
生命力 550/800
魔力 1200/1200
攻撃力 300
守備力 300
素早さ 250
スキル
火魔法・水魔法・風魔法・土魔法・光魔法・闇魔法
炎石・水石・癒石
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確認するためにステータスを見た。
魔力が少し上がってるな。
使うと成長するのかもしれない。
「ステータスを見たか。魔力回復しただろ?」
カイ兄が訊いてきた。
「うん。ありがとう。最大値まで上がったみたいだよ」
僕たち勇者パーティは走って移動する。
王都の街中では、大型の魔物が暴れていた。
見たこと無い魔物だ。
「オークだな。気を付けろ」
アスマが言う。
数匹のオークが人々に襲い掛かっていた。
『氷結の矢』
僕は近くにいた、オークに氷の矢を放った。
矢に当たったオークはたちまち凍り付く。
「容赦ねぇな・・その調子で頼む」
アスマは言いつつ、他のオークに剣で切りかかっていった。
『ウォーターボール』
ウェンディも詠唱し、水の塊をオークの顔に投げつけた。
水で息が出来なくなりオークは倒れる。
各々得意分野で倒していく。
勇者パーティにしてはさほど脅威では無かった。
「何で急に王都に魔物が出て来たんだろう」
「さあ?とにかく倒すしかないな」
アスマは冷静に返す。
確かにそうなんだけど。
僕たちは他の場所に移動していた。
あちこちで魔物が出現していたからだ。
戦っている冒険者のサポートに入る。
ブラックベアだ。
魔物はさほど強くないけど、冒険者はだいぶ苦戦しているようだった。
ゴダイが剣で、切りかかる。
ユウリが火魔法で、他の魔物を焼き払った。
「ありがとうな」
冒険者に感謝され、他の所に行こうとした時
「あれ、何だろうな」
アスマが何かに気が付いた。
倒れた魔物の腕に銀色の腕輪がはめられていた。
全然気にしていなかったけど、他の魔物も似たようなものが付いていたようだった。
「「キャアアアア」」
女性の叫び声が聞こえた。
「南西方面だ!」
アスマが叫び、声のする方に慌てて駆け付ける。
「嘘だろ・・」
アスマは目を見開いていた。
そこには巨大なレッドドラゴンが火を吐いていた。
都は炎で燃え盛っていた。
大勢の人が逃げ惑っている。
「これは流石にやばいわ。一匹なのが幸いなのかしら」
ユウリはレッドドラゴンを見て呟いた。
「全く勝てる気がしない、アスマどうする?」
ゴダイはドラゴンを見て身構える。
「トワなら何とかなるわよね?」
ウェンディは僕に期待しているみたいだ。
レッドドラゴンか・・。
どこか弱点があるだろうか。
そうだステータスを見てみよう。
『ステータス』
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レッドドラゴン
生命力 1000/1000
魔力 500/500
攻撃力 300
守備力 250
素早さ 100
スキル
炎のブレス・風魔法
*状態異常 思考操作
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これ、攻撃受けたら死ぬじゃん!
他の人のステータスは分からないけど、生命力が300以上の人はいないだろう。
弱点は表示されない・・ん?状態異常?
遠くて見えないが、レッドドラゴンの首元には銀色に輝く何かが見えた。
もしかして、もしかするかも?
一筋の望みをかける。
取り合えず僕は、街周辺にドーム状の巨大な魔法障壁を張った。
『魔法障壁』
レッドドラゴンのブレスで一瞬で死んでしまうからね。
バリヤー持つかな?
念のため重ねがけしておこう。
ぼくは魔法障壁を3重にかけておいた。
そして勇者パーティの皆に気が付いたことを伝えた。
「トワそれ、本当か?魔物の状態異常?その首輪が外れたとしてその後どうするんだ?」
「どうするって・・まだ考えていないけど」
「ねえ、アスマ、トワ普通に頭狙った方が良くない?」
とユウリが言う。
話し合った結果、頭を狙う事にした。
どんな生物も頭が一番弱いと考えられているからだ。
動けるのは・・。
「アスマとトワだね。二人しか飛行魔法使えないし」
レッドドラゴンに立ち向かうのは僕とアスマになったようだ。
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