第3話 魔石の威力

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第3話 魔石の威力

僕は一度試してみたいことがあった。 宿に戻った僕は、ある言葉を言ってみる。 記憶にあったアニメやラノベでの異世界ではこの言葉で何かが出てくるはずである。 『ステータス』 目の前に透明なウインドウが現れる。 ------------------------------------------------------------ トワ・ウィンザー 15歳  生命力 100/100 魔力  200/200 攻撃力 10 守備力 10 素早さ 10 魔力無し *魔力封じの呪い 炎石 ------------------------------------------------------------- 試してみるものだな。 ステータスが見れて確認が出来た。 数値低っ。 運動してないからこんなものか。 魔力が無かったのはどうやら「呪いがかかっているから」らしい。 魔力は意外と多いようだった。 僕はウェンディに聞いてみることにした。 部屋を訪ねると、彼女はベッドに腰かけて杖の手入れをしていた。 「呪いを解く方法って知ってる?」 彼女の前に立って訊ねる。 「私は火と、風魔法は使えるけど・・黒魔術は分かんないわ。んで呪いってどうしたのいきなり・・」 「ステータスを見たら、魔力封じの呪いが僕にかかっているみたいだからそれを解ければ魔法が使えるかなって・・」 「その()()()()()って何?」 ウェンディは首を(かし)げた。 異世界ではステータス表示って一般的じゃないのか。 「『ステータス』って言うと能力が見れると思うのだけど・・」 「ステータス・・何も見えないけど?」 『ステータス』 僕が言ったらウェンディのステータス画面が現れた。 ----------------------------------------------------------- ウェンディ 20歳 魔法使い 生命力 200/200 魔力  250/250 攻撃力 100 守備力 85 素早さ 50 スキル 火魔法・風魔法 ------------------------------------------------------------ 僕より全然強いじゃん! 次の日、僕は町近くにある広野でガイから貰った炎石を試しに使ってみた。 石に手を乗せて詠唱してみる。 魔石を使う場合、短い言葉で魔法が発動できるらしい。 『炎よ・・』 「「「ドドドーーン」」」 炎が岩に当たり、砕けて解けていた。 空気が熱風を帯びている。 「え?何これ?何で岩が解けているのよ・・・ファイヤーボールってこんなに威力あったっけ?」 ウェンディが信じられないという顔をしていた。 一応危なく無いようにひらけた場所で試し撃ちした。 「そ、そういえば、魔石って使った分・・魔力を補充しておかないといけないのよね」 あ、そりゃそうか。 魔力は・・僕、一応魔力あるけど、入れられるのかな? 「どうやって入れるの?」 「貸してみて」 ウェンディは、炎石を両手で包み込み目を瞑る。 淡い光がウェンディを包み込んでいた。 「魔力を石に流し込むイメージかな。トワは魔力無いのでしょう?」 「魔力はあるけど、呪いがあるから魔法が発動出来ないみたいなんだ」 「あ~それで、昨日呪いの事を聞いてきたのか・・じゃあ、今度から自分で魔力補充してみてね。何回か練習すれば出来るようになるから」 魔石のお陰で、魔法が使える。 今までさんざん悩んできたのは何だったんだろう。 呪いを解かなくても、魔石を集めればいいんじゃないかと思ったけど集めるのは結構大変らしいとウェンディから後から聞いた。 ドラゴンみたいな強い魔物を倒さないといけなくて、しかも必ず石が現れるわけでもないとか。 魔石は売っているらしいけど高価過ぎて買える値段じゃないらしい。 値段は聞かなかったけど・・。 何か呪いが解ける良い方法が見つかるといいのだけど。 呪いを解く方法――。 闇魔法とか、暗黒魔法とか言われているもの。 実際にはよく分かっていないのが正直なところだ。 と、いう訳で 「やっぱり、本職の人に聞いた方が早いと思うのよ」 とウェンディの発言で黒魔術を使うという魔法士の所に来ていた。 鬱蒼(うっそう)と茂る森の中の一軒の屋敷。 そこに一人で魔法士が暮らしているらしい。 「気のせいかもしれないけど・・不気味な雰囲気じゃない?」 ぼくは寒気を感じていた。 気候は温かく快適なはずなんだけど。 漆黒のカラスが何匹も行きかっていて、カアカアと鳴いている。 大きな屋敷にはびっしりとツタが生えていて、よくある幽霊が出る心霊スポットのイメージに近い。 「・・え・・えと」 まさかこんな所に住んでいるとは思わないじゃない。 異世界だし、普通に町中に住んでいるとばかり・・。 僕もこういうの苦手なんだけど・・・。 「いやあ、家が安かったからここに住んでるんだ。怖かったごめんね?んでわざわざボクんとこに来たって事は用があるんでしょ?」 コウモリやドラキュラが出てきそうな大きな屋敷の主は、意外と明るくあいさつを交わす。 灰色の髪でやせぎすな男は、真っ黒なフードを被り、不健康そうな顔色をしている。 年齢は40歳位だろうか? 「ボクはメイスンっていうんだ。・・へえ呪いかぁ。それは興味深いなぁ」 しげしげとメイスンは僕を見つめる。 「見た目じゃわかんないな。ちょっと待ってて」 メイスンは奥から木箱と羊皮紙を持って現れた。 「一応、魔力測定装置みたいなものなんだ。自作だけどね。これである程度分かるとは思うけど」 メイスンは、黒い羊皮紙に白い線で幾何学模様の魔法陣が書かれている紙をテーブルに敷き所々にカラフルな石を置いて配置する。 「真ん中に手を置いてみて」 僕は言われるがままに手を置いてみた。 空中に文字が光って表示された。 ステータス表示みたいなものなのかな? 「あ~成程ね。んでどうしたらいいかな~」 メイスンは急によろける。 「え?大丈夫ですか?体調が悪いとか」 「ああ、心配ないよ。この家に来てから何だか不調でね。目眩(めまい)がしょっちゅうあるんだ。ちゃんと寝てるし、食べてるんだけどね」 「え?」 その割に顔が青白いけど? まさか、そんなことないよね? 僕はウェンディと顔を見合わせた。 この世界にも幽霊が居るのかな? 屋敷もそうだが、嫌な雰囲気が漂っていてそうとしか思えない。 「ちょっと時間かかるけどいいかな?調べてみるよ。報酬はお金より、希少素材を取って来てくれると有難いんだけど」 一週間後にまたメイスンの家に行くことになった。 メイスンの屋敷を出て、僕はウェンディと歩く。 「はぁ~何だか僕も体調崩しそうだよ・・呪いが無ければ二度と行きたくない」 「メイスンさんは体大丈夫なのかしら・・変なものが屋敷に住みついているとしか思えないのよね・・」 憶測でしかないけど、異世界にも霊的なものはあるらしい。 「光魔法の使い手なら何とかなるのかしら・・」 霊的な物も魔法で何とかなるものなのか? そういえばアンデット系の魔物もいるからそうなのかもしれない。
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