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第39話 新たな美少女?
バサバサバサ・・。
靴箱を開けたら手紙が沢山入っていた。
何だこれ?
「アルトそれ、ラブレターてやつじゃね?」
「ラブレター?」
「お前・・知らないのかよ・・」
呆れた顔で言うニルス。
ぼくは手紙の束をバックに仕舞った。
よく分からないけど、家に持って帰ろう。
ぼくは家のリビングのソファで座って一枚開封してみた。
「好きです。付き合ってください・・・」
「・・・・」
どうやらラブレターとは、告白を書いた手紙のことを言うらしい。
内容は皆同じ事が書いてあった。
「読んでいて・・恥ずかしくなってくるな・・」
「アルトなにそれ?手紙?」
妹のエミリアが手紙を一枚抜き取った。
「こら、勝手に・・」
「・・・・」
エミリアは手紙の内容を見て顔が一気に赤くなる。
「お母さーん。アルトが凄いの持ってる~」
「おま・・ちょっと待てって!」
恥ずかしすぎるだろ!
手紙を取り返そうと、慌てて掴もうとするが遅かった。
「どうしたんじゃ?」
エミリアがお母さんの所へ走って行って便箋を開いた。
「ま~流石じゃの。さすが我が息子じゃ。お父さん譲りかの」
「こんなのどうしたらいいんだよ・・」
学校の教室内。
ぼくは困ってニルスに相談していた。
「取り合えず手紙の子に会ってみたら?」
軽くニルスに言われた。
「ほら、ちゃんとクラス名書いてあるだろ?そのクラスへ行って呼び出せばいいんだよ」
クラスが書いてない手紙もあったけど、書いてあるのもあった。
「この子は同じクラスじゃないかな」
ニルスが教室の右前の方を指さした。
一人の女子がこちらを見ている。
「多分、今見ていた子だと思うぜ」
校舎裏でクラスの女子と二人きりになった。
正確には直ぐ近くにニルスが覗いているけど。
「えっと・・手紙ありがとう・・それで・・」
目の前の女子は、茶色い髪のショートカットの可愛い感じの子だった。
チラチラとぼくを見て恥ずかしそうにしている。
「・・よく解からないんだよね。好きとかって・・ごめんなさい」
隠れて見ていたニルスが、目を大きく見開いて驚いていた。
女子が去った後で。
「何で振るかな?」
「断っちゃ駄目だったの?だって好きってよく解からないし、曖昧もいけないかなって・・」
「もったいない・・・」
はぁ~とニルスがため息をついた。
「もしかして他の子たちも断るのか?」
「うん」
その日の帰りも靴箱に手紙が入っていた。
どうやら今度は違う人たちのようだった。
「・・・え、どうしよう」
これ全部返事しないといけないのかな。
家に帰ると、エミリアが手紙を見たがっていた。
女の子ってこういうの好きだよな。
勝手に一枚抜き取って、寝転がってリビングで読み始める。
「・・ん~いいなぁ。わたしも恋したい」
ほう~っとため息をついた。
「何が?」
「アルトって鈍感!」
顔が赤くなっているエミリア。
とても嬉しそうな顔をしていた。
*****トワ視点
「お母さんたちとだけずるい!今日はお父さんと寝るの!」
僕がアルとばかりいっしょに居たので、ウェンディやレーシャが交代で僕と一緒に寝るようになった。
そうしたら何故か娘のエミリアまでも一緒に寝るって言いだしていた。
「子供のうちだけかな・・」
「一緒に寝る」なんて言ってくれるのは子供のうちだけだろう。
かわいいもんだ。
なので今日はエミリアと一緒に寝ることにしたのだが。
朝日が眩しい。
僕はぼーっとしていた。
腕が何か柔らかい物に当たっていた。
エミリアかな?
隣を見ると見知らぬ黒髪ロングヘアの少女が寝ていた。
え?これどういう事?
「エミリア、起きたかの?」
アルが部屋のドアを開けた。
一瞬動きが止まって、目が見開かれる。
「・・・・」
「えっと、これは誤解だ・・」
だって記憶にない。
この子知らないし。
「わらわたちが居るのに、一体これはどういう事じゃ?しかも15歳位の少女を・・」
アルの眼光が鋭くなり、凄まじい威圧感を感じる。
僕は背筋が一気に寒くなった。
冷気を感じるんですけど・・。
「返答によっては・・・」
「ん~お父さんどうしたの?お母さんどうしたの?怖い顔して」
黒髪の女の子は目をこすりながら起きる。
「「・・まさかお前エミリアか?」」
「まさか、エミリアだったとはのう・・実年齢は幾つだったかの」
「エミリア11歳だよ?」
エミリアは体が成長して15歳ほどになったみたいだ。
「エミリアがお姉ちゃんになっちゃったね」
「ん?お姉ちゃん?」
手鏡を持ってきて顔をよく見せてみた。
「これ?わたし??」
エミリアは目をパチクリさせている。
服が小さくなったので、取り合えずアルの持っていた服を着てもらった。
買いに行かないといけないな。
「体が急激に成長するとは・・予想していなかったのう。もしかしてエミリア、大きくなりたいなんて思ったりしたんじゃ?」
「うん!大きくなって、たーくさん恋したいなって思ったの!」
僕たちは一階のリビングに降りて来た。
「え?誰?お父さんの知り合い?」
アルトはソファに座っていて、黒髪ロングヘアの美少女を見て言う。
「ひどーい。エミリアを忘れるなんて・・」
エミリアはぎゅっとアルトの両頬をつねって引っ張った。
「痛たた・・確かにエミリアだわ。しかし信じられない・・な」
アルトは無言になり、しばらくエミリアの姿を眺めていた。
「ジロジロ見ないで!アルトのエッチ!」
エミリアは顔が赤くなって、胸のふくらみを腕で隠す。
「しかし・・困ったなどうするか・・」
「見た目だと、エミリアの方が年上じゃしな」
元に戻るのなら問題ないのだろうけど・・戻らない気がする。
「おはよう~あれ知らない美少女が居る」
「あら、また新たな恋人ですの?」
ウェンディとレーシャがリビングに入ってきた。
「違うって!」
僕は思い切り否定する。
事態はさらにややこしくなりそうだった。
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