第7話 新たな仲間

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第7話 新たな仲間

精霊族の村長さんの家で、僕はステータスを見て目をパチパチさせていた。 魔法が全属性使えるようになって驚いていたからだ。 「スキルが使えるようになってる・・何で全属性??」 「そこまでは分からんが、治ってよかったのう」 僕たちは村長にお礼を言いフレイマさんの所に戻る。 借りた指輪を返すためだ。 「呪いが解けたのね。良かったわ」 フレイマさんは純粋に喜んでくれていた。 僕たちは町へと戻らず、あの屋敷に向かっていた。 「トワ、てっきり町に帰ると思っていたけど・・メイスンさんの所に来たのは何故かしら?」 「うん。ちょっと試してみたいことがあるんだ」 メイスンさんの体調不良を魔法で治せるようなら治したい。 ついでに屋敷の雰囲気も何とかしたいところなんだけど。 屋敷を訪ねると、メイスンさんは椅子で寝ていた。 やっぱり具合が悪いみたいだ。 「メイスンさん、こんにちは。お久しぶりです」 挨拶もそこそこに本題に入る。 「僕の魔法で、メイスンさんを治せればと思いまして」 「ん?魔法?呪いが解けたのかな?」 「はい」 「そうか。それは良かった。約束をしていたのに何も出来なくてすまなかったね」 「それは気にしないで下さい。えっと、それでメイスンさんのステータスを見ても良いですか?」 「よく分からないけど、構わないよ」 『ステータス』 ----------------------------------------------------------- メイスン 25歳 魔術師 生命力 20/100 魔力  200/200 攻撃力 30 守備力 10 素早さ 10 スキル 闇魔法・火魔法・水魔法 *瘴気(しょうき)による弱体化 ----------------------------------------------------------- 良かった。 フレイマさんと同じみたいだ。 これなら治せるだろう。 僕はメイスンさんに向かって呪文を詠唱する。 頭の中に自然と言葉が浮かび上がった。 『光の精霊よ・・瘴気を打ち払いたまえ『状態異常無効化(キャンセル)』』 メイスンの体に淡い光が包み込んだ。 「あれ、体がぽかぽかと温かい・・こんな感覚久しぶりだよ」 訊いたところ、最近は体がいつも冷え切っていて冷え性だったそうだ。 顔色も赤みが差してきたみたいだった。 僕は気になっていた事を思い切って聞いてみた。 「このお屋敷、昔不幸な事故があったりって・・ないですよね?」 「ああ、良く分かったね。ここはいわゆる事故物件なんだよ」 「ひぃっ」とウェンディが小さく叫んだ気がするけど気にしないようにしよう。 僕の袖をウェンディが掴んで引っ張ってくる。 怖くなったみたいだ。 試してみたいこと・・上手く出来るだろうか? 僕は頭の中で屋敷を包み込むイメージをする。 屋敷敷地内全体に魔法が届くように 『光の精霊よ・・周囲全体の闇を打ち払いたまえ『全体浄化(オールクリア)』』 光の粒子が家を包み込んだ。 「わぁ!凄い!浄化魔法だね。いつそんなの憶えたの?」 メイスンさんが驚いている。 上手く出来たかな? 「ちょっと、自信無いんですけど・・」 「多分ちゃんと出来てるっぽいよ。家の変な雰囲気無くなったし」 屋敷全体を覆っていた、鳥肌が立つような肌寒い感じは無くなったみたいだ。 ** ガヤガヤ・・ いつもながら冒険者ギルドは騒がしい。 僕とウェンディは、冒険者ギルドで向かい合わせに座って果実水を飲んでいた。 「トワ聞いたか?」 「うわっ?」 ガイが、僕の後ろから腕を伸ばし肩を組んできた。 慌てて、コップをテーブルに置く。 「勇者パーティがこの町に来るらしいぜ」 「へぇ~勇者とかっているんだ」 でも勇者がいるって事はもしかして・・。 「魔王が復活したっていう話だぜ」 うわぁ・・そうなるよね。 物騒で出来れば関わりたくない。 やっぱり、魔王が侵略してくるとかそういうものなんだろうか。 「勇者様って本当にいるのね。ちょっと見てみたいかも」 ウェンディが目を輝かせている。 それを見ていると胸がもやもやする。 何だか嫌だな。 もし勇者が現れても、絶対にウェンディに近づいてほしくない。 「だーかーら嫌だって言ってますわよね」 「何だとお?いつもいつも・・我儘ならん!」 男女が喧嘩をしながらドカドカとギルドに入って来た。 男は黒髪で身長が170センチほどの20代前半くらいの青年。 僕は驚いた。 日本人に見えたからだ。 もう一人は白いフードを被った、銀髪の女。 顔は良く見えないが、身長が150センチくらいで可愛らしい声だ。 大きな立派な杖を持っている。 痴話喧嘩かな? 僕は、男性の方が気になりつつもテーブルに向き直った。 女が僕の方を指さして 「決めましたわ!わたくしこの人のパーティに入ります」 いつの間にか、間近に来ていた女がとんでもない事を言った。 「「はい?」」 「勝手にしろ!面倒見切れん!」 男性は怒って冒険者ギルドを出て行く。 え? いきなりどうなってるの? 女は白いフードを外した。 長い銀髪が現れ、透き通った緑の瞳が見える。 同じくらいの年齢の美しい少女。 少女は大きい瞳で僕の顔を覗き込む。 僕は息をのんだ。 「行き成りですけど、わたくし困っておりますの。どうかあなたのパーティに入れて頂けないでしょうか?」 目の前の美少女が困っている。 少女に見惚れていた僕は冷静な判断が出来ずにいた。 「はい。僕の所でよければ」 「トワは可憐な少女が好みなのかしら?」 ウェンディの丁寧だが冷たい声で目が覚める。 あ、あれ?僕今何て言った? 確かパーティに入れて下さいって言われて即決しちゃったような・・。 彼女の顔は笑っているんだけど、目が怒ってるように見えた。 ウェンディが怖いよ・・。 「貴方のお名前を聞いてもよろしいですか?」 少女は全く動じず笑顔で話しかけてくる。 「僕はトワ・ウィンザーです。まだ冒険者登録したばかりですが」 「トワ様ですか。わたくしはレ・・ティナと申しますわ。よろしくお願いしますね」 丁寧に挨拶をするティナ。 上品な感じの少女だな。 そういえば、ウェンディの許可を取らずに勝手にパーティに入る事を許可しちゃったな。 だから怒っているのかもしれない。
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