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黒子ちゃん
昨夜はまた飲みすぎた。「あー具合悪」つい口から漏れてしまう鈍い頭痛と倦怠感。(とりあえず頭痛薬、と、あれ?)テーブルに一包の頭痛薬と水の入ったコップが置いてある。「ハハッ」また思わず声が漏れた。全然何も覚えてないけど、酔った自覚から自分で準備したのだろう。だって昨夜は一人で飲んで酔払って、僕一人しか居ないんだから。って、えええ?
気配に振り向くと、そこに黒子が居た。視界の隅に認め、また向き直り二日酔いの幻覚かと確かめる為に振り返る。
さささっ
確かに居る。あの黒子だ。しかし隠れる様に僕の視界から外れて行く。あれ?そういえば着替えてるぞ。脱いだ服も畳んである。よっぽど朦朧としてんのかな?
っと思わせて、ぐりん!
思い切り振り向いた。
ピキッ、あいたたた
二日酔いで無理するもんじゃない。あれ?ピキッた首を、揉まれてる感が…
振り向かず話しかけてみた。
「ありがとう。でも、君は?」しばらく黙っていた。
「ねえ、そこに居るのはわかってるんだ。黒子さん」
沈黙。
「もう大丈夫だよ。あとは自分でなんとかする。ああ、僕もとうとうおかしくなったか
なあっと!」またぐりん。
真正面、黒子は一心不乱に僕の右肩から首のあたりを揉んでいた。その白くて小さい手は女みたくて、あの顔を隠す布越しに甘い吐息が漏れていた。
「捕まえた!」肩をガシッと掴んでやると「きゃっ」と咄嗟に逃げようとするみたいに身体を後ろに反らして、その時白い顔がチラリと見えた。観念したのか、動かない黒子の顔の布をぺりっとめくってやる。
「うわあ、かわいい」
目覚めてから三度目(いや、ピキッた時含めたら四度目か)思わず声が漏れた。
次に不安が過った。(あ、れ?こんなかわいい女の子に、僕はなんてマニアックなコスプレさせてるんだろう?待てよ、こんな衣装買った憶えはないぞ。って事は、このコの趣味かな?)
「ごめん、何にも憶えてないんだ。謝るべきなのか、謝らせるべきなのかもわからない。とりあえず、変わった趣味だね」
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