第一章 就職

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第一章 就職

 カランカラン……。  「いらっしゃいませ~こちらへどうぞ」  いつも通りの朝。モーニングは忙しい。  父や母と一緒にこの二号店を出してから、前の店よりも場所が駅に近いせいか、若い人が客層に入り込み、非常に人気店となった。  チェーンといっても、実家の一号店のほうは住宅街にあり、その近所の商店街の人など街の喫茶店の趣だ。  そちらは兄が継いだ。祖父の店だが、祖父は病気で二年前亡くなった。  兄が隣の家に住む緑ちゃんと切り盛りしていたが、その緑ちゃんとようやく春に結婚した。    緑ちゃんは私達兄妹の幼馴染。緑ちゃんはずっと兄を慕ってくれていた。  彼女は会社勤めをしながら土日は店に出て兄を支えている。  兄は彼女に会社を辞めさせようと攻撃しているらしいが、うまーくそれをかわしている緑ちゃん。所詮、兄なんて緑ちゃんには敵わない。溺愛しているから嫌われたくないのだ。男ってだめね。  先週のことだ。二号店で両親と共に店を切り盛りしている私に突然、就職のはなしが舞い込んだ。  「森川さん、良かったら当社に入りませんか?」  
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