大型新人

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 「いやはや、大型新人どころか五年目くらいの勢いです。喫茶店での経験に裏打ちされた提案なんですよね。実際に使ってみているからこその意見もあって、太刀打ちできませんよ」  部長はうなずいて、声をかけた。  「森川さん。君、今回のプロジェクトに入りなさい」  「え?」  「みんな、文句ある人いるかい?」  部長がぐるっと周りを見渡して、意見を求める。  新入社員が入れるプロジェクトではないような……。  部長、まずいよ、それ。  「森川さん。誰も文句はないそうだから、部長命令で君は今日からプロジェクトメンバーになってもらう。いいね?」  私は、周りの先輩達の顔色を見るととてもうなずけないので固まっていた。  「森川さん、やりなよ」  横から、同期の新村君が言ってくれる。  そうだよね。同期のためにもやらないといけないのかもしれないと思いなおした。  「はい。皆さんのお力になれるよう努力します。よろしくお願いします」  そう言って、この会議は終わった。  昼休み。  新村君と社食へ行く。  「森川、お前さ。少しは爪を隠した方がいいときもあるぞ」  「え?」
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