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「だから、能ある鷹は爪を隠すって知ってるだろ?お前爪研ぎっぱなし、見せっぱなし……敵作るぞ」
「……わかってる。わかってるんだけど、楽しくて忘れちゃうの」
新村は笑いながら私を見た。
「楽しくてってお前……本当に面白い奴だよな」
「だって。楽しいんだもん。本当なの」
「会社に入りたかったんだってな?」
「……そう」
唐揚げを頬張りながら私に言う。
「いいんじゃね?周りのことは俺ができるだけフォローしてやる。プロジェクト頑張れよ」
いい奴だなー、新村。
「ありがとう。今度昼奢るね」
「おお。楽しみにしてるわ」
そうして半年が過ぎた。
「おお、森川さん。元気でやってる?」
私を誘ってくれた高橋課長がふらっと現れた。
「あ、高橋課長。ご無沙汰してます。はい、おかげさまで楽しくやっています」
「ぷっ!はははー」お腹を抱えて笑ってる。何なの?
「え?」
「会社なのにいつも楽しくやってるって返答する面白い新人がいるって噂になってたけど、森川さんのことだよね。あー、推薦して良かった」
そうなんだ。恥ずかしい。
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