第一章 就職

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 今日も店で出す料理の素材を提案に来た取引のあるミツハシフードサービスという会社の営業さん。  話が終わり、コーヒーとお菓子を出すと突然切り出してきた。  「どういう意味です?」    コーヒーを美味しそうに飲む営業さんがこちらを見る。  「言葉通りですよ。新入社員として春からウチへ来ませんか?取引のお話ししているときも失礼ながら頭が回るし、提案してくれることもある。正直、うちの業務部に欲しいです。私ね、前業務部所属だったんですけど、あなたはとても向いてる。商品提案、販売戦略など……人事部に推薦したいんですよ、どう?」  この営業さんは営業二課の課長さん。だから提案すると割と早くレスポンスされてくる。若い営業さんの時はこうはいかなかったし、その人自身が勉強不足かなと思うこともあったりで提案しなかった。この課長さんは有能なので、私はガンガン提案しているのだ。  「……うーん。正直に言います。お話自体はとても興味があります。義姉も民間企業で働きながら一号店を手伝っているんですが、楽しそうで。ただ、私の場合この店の跡継ぎなのでいずれ戻ると思うんです。それでもいいんですかね?」
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