看病

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看病

 翌週。  とりあえず、巧のことを考えて土日を過ごしたが、考えてもどうしようもない。  要するに、そういう対象として考えていなかったので、急に好きになれ、付き合えと言っても無理だとわかった。  しばらく考えながら生活しよう、そうすれば変化があるかもなどと勝手に想像しながら、本部長室へ入った。  はー……なんなのこれ?ため息がでた。すごい書類の山が私を出迎えた。そうでした。今日からこれと格闘するんでしたね。  「おはようございます」    「はよ……ふー」  「大丈夫ですか?」    「大丈夫じゃない。早く何とかしてくれ」  声がかすれてるけど、書類で顔が見えない。  とりあえず、頑張りますと言って、腕まくりして片付け開始。  会議の時間ですよーと言えば、うんといって、いなくなる。  そして、いつの間にか戻ってくる。  夕方近くなり、ようやく本部長の肩が見えてきた。  頑張ったな、私。  それにしても静かだ。  本部長らしくないなと思い、前に回って話しかけた。  「本部長、お茶でもいれましょうか?」    「……うん」  お茶を入れて持ってきた。  
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