自覚

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自覚

 「ふーん。そうか、そういうことか。なるほどな。じゃあ、こっからここまでは森川さんやっておいてね」    「え?!」    またですか?    「本部長。いい加減、その丸投げやめましょうよ」    私は本部長を睨んだ。    「森川さん。君はとても有能です。よって、私の仕事を手伝っているだけです。迷うことはない、やりたまえ」    「……それって、絶対変です」    「何が?」    「だから。秘書がする仕事ではないと思うんです。この間、他の秘書さん達に聞いたら驚かれてしまって……」    「森川さん。秘書は守秘義務があるから、余計なことは他の人に言ってはダメです」    「そうじゃなくて、一般的な秘書業務について聞いたんですよ。そしたら、私のやっていることは秘書業務ではなくて……」    本部長は私を見下ろすと、ふんと鼻を鳴らす。    「森川さん。君はね、僕のための秘書です。僕がいいように君を使うの。君に色々業務をさせているのはそのせいです。他の奴らはそういう能力がないからやらせてないの。胸張っていなさい」    うーん。私が言いたいのはそういうことでないんですけれども。
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