溺愛

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 翌日出社すると、彼はすぐに彼女を部屋へ入れて、ブラインドを下ろし、鍵をかけた。  「菜摘会いたかった」    そう言うと朝だというのに抱きしめて、顔をのぞき込む。  菜摘が彼の目を見た瞬間、顔が下がってきてキスされた。  すぐにあの夜の記憶がふたりを包み、すぐに身体が反応してしまう。    気付くとふたりで何度もキスをして、身体を寄せ合い抱き合っている。  彼の唇が首筋まで降りてきて、菜摘は身体を離した。  「ダメです。朝ですよ。もう……」    「菜摘。今日から俺のところへ来い。同棲しよう。ご両親に挨拶してもいい」  相変わらず一足飛びで物事を進めたがる俊樹に、菜摘はため息をつく。    「菜摘、口紅が落ちた。こっち向いて」    そう言うと、ポケットから新しい口紅の箱を開けて、彼女の顎を押さえて口紅を塗る。  彼女を鏡の前に連れて行く。    「どう?」  菜摘は少しローズの色が強い口紅が赤くなった頬に映えて、自分が少し大人の女性に見えた。    急いでティッシュで少し抑えると落ち着いた女性が鏡に映っている。  
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