溺愛

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 自分じゃないみたい……新しい経験が彼女を一気に色気のある女性へ変えていた。  「これからここでキスしたら必ず塗ってあげるよ。これはキスでも落ちづらいらしいからね」    菜摘は顔を真っ赤にして、うつむいた。  こんなの反則。会社でこんなのおかしい。  デスク前にようやく座った彼を前にして、呼吸をすると今日の予定を話す。  「わかった。それと、菜摘……君の業務部の仕事の引き継ぎだが私が会議の間にできるだけ新村君から話を聞いて、段取りを進めてくれ。引き継ぎは基本僕が出張か会議、もしくは外出の時にしてくれ。僕がいるときは君には僕の秘書でいてもらう。僕も忙しいんだ。引き継ぎが僕自身にも発生するからね」  「本部長。私、納得してませんけど、話し合うんじゃないんですか?」  「……菜摘は業務部を取って、俺と別れたいのか?」  僕から俺に変わった。プライベートの彼が現れる。  「……どうしてそうなるの?関係ないでしょ?別に社内恋愛なら部署が違おうと仕事が違おうといいでしょう?」  俊樹は立ち上がって彼女を見た。
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