第一章 就職

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 「私、戻りたくなくなりそうで怖いの」    「……なるほどね」    「ずっと、緑ちゃんに憧れてきた。会社楽しそうだって思ってた。私も入りたいって、言いたかったの……」    緑ちゃんは優しい目をして私の頭を撫でてくれた。    「いいじゃん。戻らなくても……」    「え?」    「いざとなれば、他の人に跡継いでもらえばいいよ。ウチの子供とか……」    「ええ!?」    私は驚いて、ガタンと音を立てて立ち上がった。    「緑ちゃん、もしかして……」    「うん。妊娠した。まだ二ヶ月入ったところ。誰にも言ってない」    「嘘。おめでとう。良かったね、って言っていいんだよね?」    「ふふ。さすが菜摘ちゃん。そう、予定外だった。もう少しふたりでいるつもりだったの。それが奏ちゃんの希望だったんだけどね」    「お兄ちゃんには言ってないの?」  
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