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「私、戻りたくなくなりそうで怖いの」
「……なるほどね」
「ずっと、緑ちゃんに憧れてきた。会社楽しそうだって思ってた。私も入りたいって、言いたかったの……」
緑ちゃんは優しい目をして私の頭を撫でてくれた。
「いいじゃん。戻らなくても……」
「え?」
「いざとなれば、他の人に跡継いでもらえばいいよ。ウチの子供とか……」
「ええ!?」
私は驚いて、ガタンと音を立てて立ち上がった。
「緑ちゃん、もしかして……」
「うん。妊娠した。まだ二ヶ月入ったところ。誰にも言ってない」
「嘘。おめでとう。良かったね、って言っていいんだよね?」
「ふふ。さすが菜摘ちゃん。そう、予定外だった。もう少しふたりでいるつもりだったの。それが奏ちゃんの希望だったんだけどね」
「お兄ちゃんには言ってないの?」
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