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「ううん。お兄ちゃん、私ミツハシフードサービスに就職するね、春から」
「は?」
「課長さんに誘われて、お母さんからは了承もらった」
「……いつかそう言うと思ってたよ。お前は喫茶店ごときで満足できる奴じゃない。そうしろ。親父は俺が何とかする」
お兄ちゃん、大好き。
「ありがとう。私もしかすると喫茶店に戻らないかも知れないけど。緑ちゃんがお腹の子を跡継ぎにしてもいいって言ってくれた」
「はあ?」
「ふふ。お兄ちゃん、緑ちゃんには敵わないねえ……」
「そうだな。あいつがいない毎日なんてもう想像つかない。俺はホントに馬鹿だった。危なかったよ。ありがとな、菜摘」
「緑ちゃん、身体気をつけてあげてね」
「ああ。お袋たちにもよろしくな」
「うん」
そう言って私は店を後にした。
父は大騒ぎしたが、母と兄が味方になりあっという間に就職が決まったのである。
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