ウサギとカメ

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会社の雰囲気は、一変した。若手社員のために何をしてあげるべきか、様々な取り組みが行われ、いつも悲壮感が漂う社内は、和やかで、誰もが生き生きとしていた。 亀田はお客様相談室に長くいたから、お客様目線になれるという点で、彼の右に出る者はいなかった。そして、若手からの信頼も厚い。いつしか彼は、会議の場でも影響力を強めていった。 俺の会社の売り上げは、ぐんぐん上昇した。ブラック企業なんて言われていたのが、はるか昔のことかのように、誰もが働きやすい会社に様変わりした。そして、これだけ変わったのは、亀田の活躍があったことは明らかだった。 数年後、次の社長を決めるにあたり、当然候補にあがるはずの部長職の俺の名前はなかった。次期社長には、亀田の名前があがった。
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