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未確認生物──UMAが実在しているのが発見されて、世界はパニックになった。当たり前だ、きっと誰もが予想していなかったのだから。僕は博士の研究室に向かう。博士はこの分野にくわしいのだ。
「博士、こんにちは」
「こんにちは」
「例の未確認生物についてお聞きしますが、研究されるおつもりですか」
「もう見つかったのだから未確認生物ではないよ。もちろん研究するつもりさ」
「博士らしいですね」
パニックにもならず落ち着いた表情の博士がにっこり笑った。
「君も手伝ってくれるだろう?
なにせ大発見だ、我々以外に知能がある生物が生息しているとは思われてなかったのだからね。手はいくつあっても足りない」
「ええ。太陽系に我々以外の生命体がいるだなんて、悔しいことに作り話だと思って誰も本気にしていませんでした、これから大忙しでしょう」
僕も、博士と同じ笑顔でいるのだろう。夢物語や嘘ではない、未知との遭遇はいつだって探究心を刺激する。
「報告によればニンゲン、という名前があって第三惑星に住むようです……研究するのが、楽しみですよ」
このパニックがおさまったら、みんなニンゲンのことを知りたがるに違いなかった。僕は博士を手伝うために準備をはじめる。
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