第一章 始まりの森で

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魔族と人間の争いは、……様と……様が…… 僕が必ず……守ってみせるから。 ここを頼むぞ……頼もしい声 二人だけでも……優しい声 あの二つの声はなんだか暖かくて淋しい。 ……あれ?僕は…そうだ。頭への負荷が大きすぎて力尽きたんだった。 「あ…。アル〜奏が目を覚ましたよ〜。」 「すぐ行く〜」 ベッドの横からそんな声が聞こえた。 僕は起き上がろうとしたが少しふらついてしまった。 「寝てていいよ。魔力圧縮がまさかあんなに早くできるようになるなんて思わなかっし、負荷はかかりすぎてるからやすんだほうがいいよ。……あと、アルの話が長かったのもあると思うボソ。」 「なんか言ったかな?」 いつの間にか後ろにいたアルがロアのことをジトッと睨む。 ロアは別に何もと澄ました顔でそっぽを向いた。 「きっと今日は疲れてると思うから、座学を先にやっていこう。今回奏が倒れてしまったのは僕の説明不足でもあるからね。防護結界に関してはもっとちゃんと解説しようと思うよ。」 くっそ長くなる予感がする。疲れると思うから飛ばしてもいいよ。 魔力圧縮についてはさっきも言った通り、毎日少しずつやってくれるかな。 それを踏まえたうえで、防護結界は今日は実演はなしで解説だけ聞いてもらうことにしよう。まず、防護結界って言うのは攻撃から自分の身を守るために存在するものなんだ。常に展開をし続けることは難しくて鍛錬を積まないといけないし、努力すればできるようになるけれど、できるようになるにはかなりの時間がかかるんだ。だから常に展開できる人は少ないし、通常はあまり使わない魔術だからいざとなったときに展開できない場合も多い。でも、奏にはこれを必ず習得してほしい。僕達がそばにいれば大体は大丈夫だと思うけど、それでも万が一があった場合が大変だから。基本的に習得している人が少ないだけあって、暗殺の手段も襲撃とかが多いし魔獣からもきちんと身を守れる手段なんだ。それでね。気をつけないといけないことがあって、一定数魔力の流れを掴める人が存在するんだ。僕達子供が常に防護結界を張り続けていると見破れる人は数少ないけれど、この人たちは例外だから本当に気をつけて。この人達を見破る方法も一応あって、マントの止め金具に(透)って刻まれてるから、その人達に近づかないようにしてくれればいいよ。もしかしたら、つけてない人もいる可能性もあるけどね。 で、話を戻すけど防護結界だけじゃなく、いろんなことに言えることなんだけど発動範囲が広いとそれだけ魔力も使うし疲れちゃうから、本当に体ぎりぎりのところにかけてね。イメージとしてはちょっとした魔力の全身タイツを着ているって感じで僕達二人とも習得したからこれが一番わかり易いと思う。 魔力の布を全身に巻き付けていく感じ。このとこに本当に全身タイツみたいに顔をだすんじゃなくてちゃんと顔まで隠してよ。そしたらそれを一気に固める。薄く魔力を広げてから一気に魔力を固めるのが簡単な遣り方だからやってみてほしいな。それから防護結界の魔術式はこんな感じでこれは魔術で盾を作るときにも使えるから覚えておくといいかも。あっ。あとそれからね。 この魔術を習得するコツとして1日中ずーっと貼り続けてると良いよ。めちゃくちゃ大変で途中で消えちゃうのは勿論だけど、魔力切れを起こしたり、することもあるけど、これも必要なことだからなるべく僕達が近くにいるようにするけど、もし一人でその状態になったとしても落ち着いて対応してね。 あ〜あとそれとね。 ってまあこんな感じに家に帰るまでずっと解説され続けてめちゃくちゃに疲れたのでした。 「「「ただいま」」」 「お腹すいたしちょっと早いけどご飯にする?」 「そうだね。僕もお腹すいちゃった。」 「じゃあそこにある作り置きしておいたやつを温めて食べよう。」 「有難う。」 「ねえ、ロア。これ暫く長い説明と魔術の練習するけど、いい?」 「勿論。一度に魔術も剣術もってやってたらどっちも疎かになるからキリがよくなるまで待ってるよ。とりあえず防御結界を習得するまでかな。奏なら、すぐだろうけど。」 「ねえねえ、何の話してるの?こっちに聞こえないんだけど。」 「ん〜。奏ならすぐ防衛結界を張れるようになるよって話〜」 「魔力圧縮をすぐに習得できたから割とすぐに習得できるんじゃない?」 僕は二人に褒められて素直に嬉しくなった。 「有難う。二人の期待に答えられるように頑張るよ。」 「「頑張りすぎないで」」 ……あれ?そこは頑張ってじゃないの? ちょっと見当違いな答えに僕は拍子抜けする。 …まあいいや。 今は目の前の美味しそうなご飯の方が大切である。 運ばれてきていたご飯を目の前に涎が垂れそうだ。 「美味しかった〜。」 アッという間にご飯を食べ終わってしまった。疲れてたのかな。 「奏、風呂に入ってきなよ。後片付けしとくからさ。」 「有難う。」
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