第一章 始まりの森で

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僕はアルが出ていった後、部屋の整理を再開した。 部屋はまあまあ綺麗だったが、長く使われていなかったのか所々に汚れが目立つ。 ……終わらない。 …ていうか飽きてきた。 僕は大きなベッドに飛び込む。 …一番最初にベッドを掃除しておいてよかった〜。 寝っ転がりながらも、外の空気を吸いたいと考え、僕は下へと降りる。 下には誰も居なかった。 アルとロアは片付けでもしているんだろうか。 二人に心配をかけてもいけないと思い、僕は置き手紙を書くことにした。 〝僕は片付けに疲れたので少し外の空気を吸ってきます。  この家の敷地内からでないので、何かあったら声をかけてください 〟 …これでいいかな? 僕は扉を開ける。 この家の裏に庭があったはずだ。 庭に柵があり、柵の入口がすぐに見当たらなかったので周りを探してみることにした。 ……ないな。 周ってみたけど柵に入り口はなかった。 でも、絶対何処かに入り口があるはずだ。 僕は柵以外も探し始めた。 …ようやく見つけた。 端っこの方の生垣にかがめば通れるかもしれないレベルの小さな穴が空いていた。 そこに入ろうとしたときだった。 「奏。いた。」 後ろを振り返るとロアがいた。 「どうしたの?なにかあった?」 「おはよう。ねえ、あそこの庭に行きたいんだけど行ってもいい?」 「勝手に行こうとしてた。駄目」 「そっか。ごめんね。」 僕は少し違和感を覚えた。 「いいよ。帰ろう。」 僕はロアに連れられて、家に戻った。 「「ただいま」」 「おかえり。ロア、奏」 アルが出迎えてくれた。 「あのさ…。この家の裏に庭があるよね。庭に言ってみたいんだけど……。」 僕はアルに聞いてみた。アルはその瞬間有無を言わさないよう、こちらを見つめて少し冷たく言った。 「あそこの庭に近づかないで。あの場所は……」 「アル?……奏、今は言えないけどあの場所には入らないでくれる?」 きっとあの場所は二人にとって何かあった場所なんだな。 綺麗に手入れされているからきっと大切な場所でもあるのかもしれない。 「ごめんね。綺麗だったから。二人がそう言うならもう近づかないよ。」 「それならいいんだ。ごめんちょっと言葉が強かった。……ねえ、奏。明日は森に行かない?」 「森?」 「うん。この家の裏をちょっと行った先に森があるんだ。今日は片付けで一日が終わっちゃうと思うから、明日一緒に行こうよ。もしかしたら何か思い出すかもしれないし。」 この世界は見慣れないものが沢山ある。もしかしたら何か手がかりになるものがあるかもしれない。 「うん。そうと決まれば片づけ頑張らないとね。」 僕の部屋を開けると半分しか終わっていない現実が見えて少し萎えた。
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