第一章 始まりの森で

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お風呂から上がるといい匂いがした。 「奏、もうご飯できたよ。」 テーブルの上にはご飯と味噌汁、それから今日取ってきた刺し身があった。 めちゃくちゃ美味しそう。 あの魚、美味しくなさそうだと思ってごめんなさい。 「魚の残りは明日のご飯にするよ。」 「さあさあ、早く食べちゃって。」 ロアに進められるがまま、僕は席につく。 早く二人とご飯が食べたい。 ちらちらと二人を見ている僕に気がついたアルとロアは失笑しながら席についた。 「ふふっそんなに食べたかった?」 無言のまま僕が頷くと、アルが合図をする。 「せーの」 「「「いただきます」」」 僕は味噌汁を口に運ぶ。 野菜がうまい。 僕が採ってきた初めての魚。 めちゃくちゃうまい。 醤油をつけたときは勿論、なくてもうまい。 こんなのが明日も食べれるんだ。 「奏がそんなに喜んでくれて嬉しい」 「そういえば、今日ターナルメットに遭遇したんだ。」 「えーまた?奏大丈夫だった?」 「うん。アルが守ってくれたから…」 本当は僕が守る側でいなくちゃいけないのに…。 …あれ?…いや、気のせい…ってことにしとこう。 「最近本当に多いよね。」 「うん。奏が襲われる前に、ワンドの使い方を教えておきたい。それにワンドだけじゃなく、剣とか魔術とか色々使えておいたほうがいいと思うんだ」 「そうだね。じゃあアルは魔術担当で、私が剣を教えるね。」 僕は二人の成長を感じてちょっと嬉しくなった。 「うん。僕も力になりたいからよろしくね。」 「無茶はしないの。いつも無茶するんだから」 「そうだね。気を付けてよ。」 「うん。そういえば練習はどこでするの?」 「村の近くに川があるのは知ってる?あの川の上流に魔術練習場、下流に武術練習場があるんだよ。」 「そうなんだ」 「そう。だから早く寝て明日に備えなくちゃ。」 「うん。」 会話の切りが丁度良いタイミングでみんなが食べ終わったので、ごちそうさまをして解散する。 そういえばアルとロアの部屋みたことないな。 …さっさと寝るか~。別に気になりすぎて禿げるほどでもないし。
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