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「瑠美ちゃん。こんな性悪女に骨抜きにされるようなバカな男とは別れなさい」
「はい。瑛、離婚しましょう」
一番言いたかった言葉が何の躊躇もなくサラッと出た。自分でも驚くほど冷静に。
「えっ? 瑠美? 」
「平日は仕事でしょうけど、日曜日まで自分の子供との時間より、おばさんと浮気してるようなバカな男は要りませんから」
「瑠美?」
「おばさんとは何よ」
こんな女に何を言われても怖くもないし悔しくもない。勝手にしてくれれば良い。
もう私には関係ない。
「おばさんだから、おばさんだと言ったまでです。私より十五歳位は上ですよね? そんなおばさんを選ぶようなくだらない男には用はありませんから」
「瑠美ちゃん。良く言ったわ。じゃあ私達は帰りましょう」
「冨川さん。本当に申し訳ありませんでした。こんなくだらない事に付き合わせてしまって……」
お義父さんは言った。
「あぁ。いえ」
「ありがとうございました。お陰で気持ちの整理がつきました」
私も心からの感謝の気持ちを伝えた。
「そうか。じゃあ帰ろうか」
「はい。すみません。お仕事でお疲れなのに」
部屋を出る時、瑛の顔なんて見なかった。
絶対に許す事など出来ない最低な男と夫婦だった三年間は、いったい何だったんだろう……。
柚奈は大切な娘。私だけの宝物……。
こんなくだらない男は父親なんかじゃない。二度と会わせるつもりはない。
冨川さんの車で、瑛のご両親は宿泊先のホテルに。私はマンションに送って貰って帰って来た。
「ありがとうございました」
「いや。これからも瑠美ちゃんの相談にはいつでも乗るから。頼ってくれて良いんだよ」
「はい。ありがとうございます」
「じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
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