黒いサングラスの下

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 私の欲を満たす見返りに彼の欲を満たしこの肉体を捧げる。  次の日は何もなかったような顔をして店は普段通り営業し、また月曜日になると二人でサングラスをした瞬間から別の顔になる。  この関係を誰かに知られてはいけない。 「ネェちゃんお疲れ。今日は俺が夕飯作っといたよ。先に風呂に入りなよ」  今日も家に帰ると素直で優しい弟が妹達の面倒を見ながら帰った私を気遣う。  もうさっきホテルで風呂に入って来たなんて言えない。  ごめんね。ネェちゃんはこんなにも薄汚れてる。風呂に入ってもその汚れはとれない…。  今日二度目の風呂に入りながらそんな事を思う。溢れ出る涙と一緒にシャワーが私の穢れを流してくれたらいいのに。  家族には見せたくない黒いサングラスの下の私の別の顔。  鏡に映ってるその顔は影を落とし黒ずんで今日も表情が冴えない。  抱かれた日は身体の欲が満たされたはずなのになぜかちっとも幸せそうに写らない。    
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