木漏れ日のような眩しい笑顔

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 店長はその奥さんと目を合わす事なく俯いたまま呟く。まるで後ろめたさを見抜かれないようにしてるみたいだ。  足元に絡み付く子供たちの腕を自分の太ももから優しく引き剥がし店長が作業に再び取りかかる。 「仕込みで忙しいんだ、子供達もうろちょろされると困る。用がすんだら帰ってくれよ。」  つっけんどんな言い方。 「何よ、折角届けてあげたのに。」  奥さんは怒る事もなくあっけらかんと穏やかにそういうとニコニコしてこっちを見てくる。その視線が苦しい。  その表情から心の中を読み取ることは出来ない。  店長と私の二人の関係を直接疑って聞いてきたり問い詰めたりする様子は全くない。  私のこのやましい気持ちが自然と私の目線を泳がせ、彼女からの視線を拒む。  奥さんが目も合わさずに黙々と作業する店長の横顔に朗らかに話しかける。   「あなた、今日も夕方まで仕事なんでしょ?夕飯はどうする?」  穏やかな口調で彼を追い詰めていく。  あったかい家庭が透けて見える。
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