木漏れ日のような眩しい笑顔

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「仕事次第だからわからねえよ。 帰る時に連絡するから。」  つっけんどんに答える店長がなぜか言い訳して甘える子供みたいに見えた。  やっと手元から目線をあげて奥さんをチラッとみてから気まずそうにほんの一瞬だけ私を見た。  その店長の視線を目で追っていた奥さんはその視線の先の私に気付きまた話しかけてきた。 「あなたは…入ってどれくらい?」  不意にそう話を振られた。  一瞬ドキっとしてから、平静を装う。 「ちょうど一年くらい?かなぁ…」 「そう。年はいくつなの?」  いたって優しい笑顔で聞いてくる。 「19歳です。」 「そう、19歳か。じゃ、お酒はまだ飲めないわね。大学生?」  19歳を強調しながら穏やかにニコニコして頷く。 「はい…」  その口調は物腰が柔らかく表情も優しい。  でもその笑った目が一瞬凍ったように見えた。  柔い笑顔の奥でその鋭い目が私の全身をとらえ下から上まで舐め回してきた気がした。  まるで何かを探るような目。  女にしかわからない女の勘はこういう時、怖いくらい凄くよく当たるのを女の私はよく知っている。  
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