梅雨時は腐りやすい

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梅雨時は腐りやすい

それは、ただの黒カビに思われた。実際、肌についても洗えばすぐに落ちたし、黒く腐った食べ物は生ごみとして捨てれば、済んでいた。 だが、だんだん、皮膚病のように人の肌に黒い染みができ始め、水虫のように軽石で肌をこすると一応、肌は奇麗になったので、そう騒ぎにはならなかったが、軽石で肌を削っても菌の根を完全には取り除けず、すぐ、黒い染みが復活すると気づいた時には、その人間を食らうカビは世界に広がっていた。気味悪がって血が出るくらい肌を掻く人が現れたが、その黒カビは非常に繁殖力が強く、手足が完全に腐って、四肢をなくす人も現れた。 地球に落ちて来た隕石に付着していたとか、永久凍土の中に閉じ込められていた未知の菌が、地球温暖化の影響で解放されたとか、細菌兵器として開発していたものが、研究所からもれ出たなどの憶測がネットであふれたが、ウイルスと違って対抗するワクチンも作れず、人間はカビにとって栄養満点の苗床だったらしく、全身を真っ黒にさせて腐乱死する人が続出した。
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