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すると動きが止まってしまい、もうちょっとでイけそうだった俺は思わず叫んだ。
「頼む、動いて! あ、あ、イきたい!」
結果、再び抽挿が始まり、俺は無事に果てる事が出来た。
事後。
この日俺は、初めて起きていた。姿見を見ると、美形の男が俺に土下座をしていた。
「えっと、幽霊さん?」
『……はい』
「あの、同意なく人を犯したら犯罪だと思うけど、幽霊にも法律が適用されるのかは知らないし、気持ちよかったんで俺は不問とします。でも、これじゃあ新しい入居者が入れないんですけど」
『すみません……実は死ぬ前に、どうしても男とSEXしてみたかったんです……』
「ほう?」
なんとか会話が成立している。幽霊は喋れた様子だ。
『俺はゲイなんですが、仕事柄それをひた隠しにしていて、迂闊に誰かと寝るわけにも行かず……童貞で……そうしたら、あなたという救世主が現れまして……』
蕩々と霊が語る。俺は引きつった笑いを浮かべた。きっと彼が事故に遭ったという入居者なのだろう。
「まだ生きてるって聞いてますよ! 体に戻れないんですか?」
『えっ!? 俺、気がついたらここにいて……』
「Let'sチャレンジ!」
『は、はい!』
俺は幽霊を励ました。
『もし体に戻れたら、今度はきちんと肉体同士で僕と――よかったらお付き合いして下さい!』
「考えておきます。そうだなぁ、戻れなかったらまたここへ帰ってきたらいいし。この物件安くなってるから、俺、あんたもいるならここに引っ越してこようかと思ってたりして」
その夜は、そんな話をして過ごした。それは火曜日も同じだった。
こうして水曜日の朝、俺はその物件を後にし、そこで幽霊とも別れた。幽霊はミソノと名乗った。
「どうだった?」
出社すると社長に問いかけられた。
「出ました、出ましたよ!」
「やっぱりかぁ……」
社長の声が沈む。
「でも全然怖くなかったんで、よかったら俺、あそこ借りますよ! 丁度実家を出たかったところなんで」
「なんだって? それは助かる!」
こうしてこの日、俺の新居が決定した。
俺はその次の週末引っ越しをした。色々なプラグをコンセントに差したりして、やっと落ち着いたのでテレビをつけると、速報として『人気俳優の御園亮太の意識が戻った』というニュースが流れてきた。
「あ!」
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