28人が本棚に入れています
本棚に追加
そこに映っていた青年は、何処からどう見ても、俺を犯し尽くして土下座した幽霊そっくりだった。
「え!?」
驚いた俺は、次の出社日に、事故に遭ったという住人を確認し、本人だと知った。また、引っ越した後は、一度も霊は出て来なかった。
「……肉体に霊が戻れたって事か? 生き霊だったのか? 霊がいるとすればだけど」
帰宅する度に姿見をチラチラ見ながら、俺はそんな事を考えて呟いていた。
だが人気俳優という事は、もう俺とは接点が消えただろう。きっと現実に戻った今となっては、俺の事をあちらが夢だと思っているかもしれない。
俺の家のインターフォンが鳴ったのは、それから二ヵ月後のある日の事である。
「はーい」
サングラスをした青年がモニターに映っていたので、心当たりは無かったが俺は外に出て確認することにした。すると。
「青山さん!」
サングラスを外し、青年が俺を見て嬉しそうに笑った。そこにいたのはゾッとするほどの美形である。
「あっ、ミソノ! 幽霊! 御園亮太!!」
「覚えていてくれましたか。嬉しい。よかった。あの、これ」
御園はそう言うと、手にしていた薔薇の花束を、俺に向かって差し出した。
「僕、青山さんに惚れてます。僕の恋人になって下さい!」
その花束を受け取りつつ、思わず俺は嬉しくなって口角を持ち上げる。
「来るのが遅い。待ってたよ」
これが、俺と御園の馴れそめである。
その日から、本物の肉体で、俺達はめちゃめちゃSEXした。
―― 終 ――
最初のコメントを投稿しよう!