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「ヴィンセント先輩、私たちも同行してもいいですかぁ〜?」
「私も!」
「私も同行したいですわ」
美男子に女子生徒が群がるのは必然のようなもので、集団だからか、勢いに任せて声をかけている。すごい勢い。
「ねえ、君」
「え? 私ですか?」
「そうそう。すっごく可愛いんだけど、君も特待生?」
「彼女は僕の相棒なんだ。気軽に話しかけないでくれるか」
「──っ!?」
「あ、わ、悪い」
一瞬で距離を詰めたヴィンセント先輩に驚きつつも、私の肩を掴んで守ってくれたことが泣きそうになるほど嬉しかった。これは──惚れてしまうわ!
周囲の女子生徒も黄色い声を上げていた。わかる、その気持ち分かるわ!
しかし群がる女子生徒に、ヴィンセント先輩は鋭く睨んだ。
「悪いが実力のない子とは組まないから。第一級魔物を個人で倒せるレベルになってから、声をかけてくれ」
「!?」
清々しいほどの一刀両断……。前髪のある時と、オネエ口調とも違う特待生用の一面って感じで使い分けているのかも? まあ、レベルが足りない同行者が一人いるだけで狩りの危険度は高くなるから、ヴィンセント先輩の言葉は正論だわ。
私に視線をぶつける生徒も多いが「謎の美少女」と認定されている。その中にはレックスの姿もあって驚いた。誰一人シンシアだと認識してないことに、凹めばいいのか喜べばいいのか、少しだけ複雑な気持ちになる。
ううん、見返すって決めたのだから、今気づかれなかったのは報復するのにも有利になったはず!
闘志を燃やしつつヴィンセント先輩の隣を歩く。先輩の隣を歩けるなんて、役得だわ。
そういえばヴィンセント先輩の実力ってどのぐらいなのかしら? 今から楽しみ!
外では数時間前と同じ青空が広がっていたが、息がし易かった。
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