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「私を特待生のパートナー枠に選んだのは、私を保護するため?」
「違う。順序が逆だよ。僕がシンシアの才能に惹かれてパートナーとして選んだ。それから君の噂を聞いて、ローレンスに調べて貰った、というのが正しい。……生徒会が動いても、黒い噂が絶えないことに違和感を覚えてね。実は君に話したこと以外にも、裏で色々動いてた……黙っていてごめん」
「ヴィンセント先輩……」
思えば特待生になってからヴィンセント先輩は、私が好む場所に連れて行ってくれたし、細やかな気遣いや、激励も多かった。
それを思い出すだけで胸が熱くなる。
「リファス伯の件は内々に処理するため、表向き今回の黒い噂や君の名誉を傷つけた犯人は、レックスとライラの二人となる。実行犯は間違いなく二人だからな」
ローレンス先輩は最終的な段取りを説明したが、その報復に内心引いた。絶対にこの人は敵に回さないようにしよう。そう心から思ったのだった。
***
二次試験はチーム対抗戦となり、トーナメント表はお昼休み終了の三十分前に公開された。《亜麻色の乙女》とヴィンセント先輩は一次通過の評価が高かったので、三回戦から参戦する。これも作戦らしく周囲の注目を集めるためだとか。
『それでは入場して頂きましょう。第十三位でゴールインした、総合順位は第八位のレックス・ギルマーティン。四属性の魔法を使いこなす前衛型の剣の使い手だ!』
歓声が上がり、黄色い声援も飛び交う。気を良くしたレックスが観客席に手を振って愛嬌を振りまいていた。これから地獄に落ちるというのに暢気なものだ。
『次いで、第十四位でゴールインを果たし総合順位は十一位のライラ・ゴートン。稀少中の稀少――聖女魔法の使い手、防御魔法で右に出る者はいない!』
観客席がどっと盛り上がる。なかなかの人気のようだ。ライラは落ち着いた表情で観客席に笑顔で応える。なんとも強靱な精神力だと思ってしまった。この状況でも虚勢を張れるなんてすごい。
『対戦者は謎の美少女、誰もが目を奪われてしまう魅惑の《亜麻色の乙女》、第四位でゴールインを果たし総合順位はなんと三位というとんでもない実力を持っている! そして彼女を特待生のパートナーに選んだのは、ヴィンセント・グロヴァー! 隣国の第一王子で、天才魔法剣士だ。同着四位でゴールインし、総合順位は二位と、限りなく優勝に近い二人の登場だ――ん? んんんん!?』
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