第14話 復讐の果ての真実

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 ローレンス先輩からの情報で、魔道具を使われる可能性もあったのだ。だからこそ大々的に復讐劇を展開して、彼女を追い詰めることにした。  漸く私の魔法をお披露目できる!  ヴィンセント先輩に視線を向けるとすぐに察して頷く。復讐劇の第一幕は、これで終わりだ。私は錫杖を掲げて最後の呪文を唱える。 「魔糸魔法──(アーヴェ)(カゥエーア)」 「なっ!?」 「ありえない……ありえないわ!」  蓮の魔法陣を描いた後、その白銀は数千の銀の鎖となって素早くレックスとライラの身柄を拘束した。 「きゃあああああ」 「ふざけるな、こんなもの!? くっ──!」  ライラが手に持っていた魔導具も白銀の鎖によって拘束され、その一瞬を見逃さず、ヴィンセント先輩は杖の石榴色の魔法石を砕いた。 「やった」  決着が付いた瞬間、驚くほど静寂が闘技場を包んだ。  ──が、それはほんの数秒。 『決着!! 最後は幻想的な魔法で見惚れましたが、なんと言う魔力量! 芸術的な美しさと圧倒的な魔法で、ヴィンセント&シンシアチームの圧勝だああああ!』  司会者の言葉によって、歓喜の声が湧き起こった。誰もが拍手喝采で勝利を喜ぶ。 『すごかった!』 『正直驚いたけれど、でもすごかった!』 『感動した!』  そんな声が聞こえてきて、心境としては少しだけ複雑だ。けれどまだ復讐は終わっていない。  錫杖を抱きしめるように抱えた。  私の代わりにヴィンセント先輩は二人に剣先を向ける。 「シンシア嬢の黒い噂について、レックス、ライラ、君たちに心当たりはあるか?」 「! ……私は……悪くないもの」 「!?」  二人は口を閉ざして目を逸らす。ライラは前回忠告したものの、知らぬ存ぜぬの一点張りで通すつもりのようだ。  それを見てヴィンセント先輩は小さく舌打ちをしたのち、観客席──ローレンス先輩に合図を送った。 「そうか。じゃあ、しょうがないな。()()()()()」 「なっ……」 「何を勝手な!」  この展開もヴィンセント先輩の想定内……それにしても、ここまで来ても認めないなんて……。  すぐさま王家の騎士が会場内に現れ、場は騒然となった。騎士たちはレックスとライラを囲んである魔導具を二人に取り付ける。 『今入った情報によりますと、シンシア・オールドリッチ女子生徒の黒い噂は、彼らが意図的に流したそうです。その証拠を《記憶を具現化する魔導具》で読み取るとか! これはとんでもない展開ですね、ローレンス王子!』 『ええ、本来であればここまで大事にはしなかったのですが……。あまりにも悪質かつ、被害者が複数名いることもあり、次なる被害者を出さないためにも公開することにしました』  司会者とローレンス先輩の言葉に、観客の生徒たちは大いにざわめいた。  素直に認めれば、ここまでの事態にならなくてすんだのに……でも、選んだのは彼らだ。
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