2章 お誘い

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自分では2日以上悩んだメッセージの内容を、栄策はいとも簡単に送ってきた。 文章のできに感心しながら、沙絵にメッセージを送った。 数分後に沙絵から返信がきた。 栄策が作ったメールは、沙絵に効果ばつぐんだった。 「うんうん、やろやろ♪ 私もちゃんと供養できてるようで、できてなかったかもしれないから。それに会社にまだ智則さんいるなら会いたいな~…ってもういないんだっけ?」 そう、龍彦が栄策を介して話をしてからジャッカルの社内を、智則がうろつくことはなくなった。 社員が智則の声を聞いたり影を見たということもなくなっていた。 栄策曰く、今は社長室かときどき窓際部署でぼーっと過ごしているらしい。 「わかんねぇなぁ〜。心霊現象はもう落ち着いてるみたいだけど。沙絵ちゃんがくるっていうなら、会長もきたりしてな」 「そっか〜。そうだよね!妻が供養にいきますって言って、こない旦那様はいないよね笑」 沙絵は喜びの文面を送ってきて、上手く話が転がり、夜ジャッカルにきてくれることになった。 「栄策以外、すべての社員を残業なしで18時退社にさせてからだから…供養は19時以降になるけどいいかな?」 「うん。大丈夫だよ♪骨壺とか持って行ってもいいかな?」 沙絵の要望を、龍彦はすんなり受け入れた。 「もちろん。会長と思い出の品とか何かあったら持ってきてくれ。自宅から会社の送迎は俺か栄策がするから安心してきてほしい」 画面の向こうで嬉しそうにしている沙絵を感じ、龍彦はほっとした。
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