1章 記者会見

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1章 記者会見

1か月後、沙絵は弁護士とともに記者会見を行った。 その様子はテレビだけでなく、ネットでも生配信された。 栄策と龍彦は、リアルタイムで社長室で見ていた。 「なんで栄策がここにいるんだよ…汗」 龍彦は、ひょっこり社長室のソファーに座り、テレビを見ている栄策にドキッとした。 休憩中に、遊びに来る感覚で社長室にやってくる栄策に、多少の呆れを感じているのだ。 「いいじゃないの~。会長だって心配だって来てるし~」 不満そうな顔をした栄策を見て、仕方なく龍彦は、社長室にいることを許可した。 「まぁ…心配っちゃ心配だよな…。いや…沙絵ちゃん泣きそうじゃんか…」 画面の向こうには沙絵と、右隣に弁護士が1人座っているだけだった。 一番心配しているのは、龍彦と智則だった。 たった一人で、複数人の記者を相手にする。 しかも、今回の事件は、完全に沙絵自身のミスだと世間は思っているに違いない。 沙絵が記者会見をするのは、智則が亡くなった時とファッションショーの告知やモスアズの第一号店を出した時以来だった。 会見では鋭い質問も沙絵に投げかけられ、時折、涙を見せる時もあった。
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