1章 記者会見

2/7
前へ
/19ページ
次へ
「水沼さん。俵久さんと不倫関係にあり、さらに自身の会社に入れるということは公私混同だと思います。他の社員の反応などは考えていなかったのでしょうか?」 「事実婚であっても、水沼さんは不倫をしていたわけですよね?その点についてはどのように捉えられていますか?慰謝料などは払うのでしょうか?」 記者からは矢継ぎ早に、沙絵の心をグサグサとエグられる質問ばかり飛んでくる。 「亡くなった夫、智則さんの会社、ジャッカルへの影響などは考えていなかったのでしょうか?」 同時に記者たちが質問を飛ばしてくるので、司会者が「順番に指しますのでお待ちください」と記者たちをなだめた。 記者たちのざわつきが収まったところで、沙絵が司会者に手をあげ、「コメントを出す」と合図を出した。 そのアクションに、記者たちは釘付けとなる。 もちろん、龍彦や栄策、そして智則もテレビ画面に張り付くようにして見ていた。 どんな回答が出てくるのか、今か今かと待っている。 沙絵は、テーブルに置かれたグラスに入った水を一口飲んでから、記者たちの質問に対するコメントをはじめた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加