1章 記者会見

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「ごめん…。なんか、もっと早く、こんな大きな事件になる前に、沙絵ちゃんに気づかせてあげられればよかったなって…悔しくてさ。わりぃ…。今はそんな時じゃないよな。…今一番悔しくて悲しいのは、沙絵ちゃんだもんな。…ちょっとばっかし、沙絵ちゃんを元気にさせてやりてーんだけど、なんかいい方法ないかな」 「んん…やっぱり、会長のお力を借りちゃうのがいいんじゃないかしら♪」 どうやら、栄策は窓際部署に沙絵を呼んできて、智則に再会させようしているようだ。 「ええ…窓際部署って…ちょっと…あそこは…なあ…」 沙絵を連れて窓際部署へ行くことにあまり気乗りしない龍彦を見て、栄策は怪訝そうな顔をした。 「なんで嫌なのかしら?会長と会わせるにはあそこにいくしかないわよ~?」 窓際部署は、智則の不倫で沙絵が家出した時に、自分の荷物が押し込まれた場所だった。 過去の嫌だったことをお互いに思い出さないか心配になった。
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