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「なんだかいつもと違う格好をしているね。どこかにいくのかい?」
チェルシーはツユクサが必要で湖に行く予定だったが、街からでられなかったことや冒険者雇用のことなど話した。
「ああそうだよね。魔王が倒されてからモンスター達は凶暴になり、より衛兵のチェックは厳しくなっているよね」
酒場の主人は腕を組んで頷いていた。
「あの、それで冒険者のことなんですけど…」
「ああそうだったね。生憎、朝酒場にいるのは昨日から飲み明かした飲んだくれと、我々くらいのもんさ」
ほらみてごらんと、テーブルにうつ伏せになって寝ている男たちを指差していた。
「ツユクサならあと2ヶ月もすれば露店に並ぶと思うけど、今必要なんだよね?」
チェルシーは頷いた。酒場の主人は顎に手をやり、うーんと悩んだような顔を見せた。
「じゃあ、わしがついて行ってやろうか?」
え。何を言い出してるんだろうこのご主人。
思いがけない提案に、思わずチェルシーは主人の顔をじっと見てしまった。そんなチェルシーをよそに主人は続ける。
「わしは冒険者だったんじゃ。その昔はなかなかの人気を誇ってたんだよ」
鼻下を擦ってどうだと言わんばかりの顔で、昔の話をしている主人だったが、チェルシーは昨日の慌てた顔を思い出してくすりと笑っていた。
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