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「ターニア。おーいターニア」
なによ朝っぱらからうるさいわねぇと、果物とナイフを持って皮を剥きながらターニアが出てきた。チェルシーを見つけると、あら!おはようございます、早いんですね〜良かったらどうぞと言って剥きたての果物を渡していた。
「え、いいんですか?じゃ遠慮なく」
チェルシーが貰った果物を食べている横で主人が今の話をターニアに伝えていた。
「城門を出て歩いてすぐの湖にいくだけだから、大丈夫だろ」
「何言ってるのお父さん!冒険者だったのはもう30年近く前の話でしょ?最近はあの辺りも危険になってるって、よくお客様がおっしゃってるでしょ?」
年を考えなさいよと、呆れたように言うターニアに主人は何を言うかまだまだ現役じゃと意気がっていた。
もぐもぐと口を動かすチェルシーの前で行われている親子げんか。言い合いをしながら、2人は奥に引っ込んでいっていた。
その様子をチェルシーは仲良しだなぁと、微笑ましく見ていると、酒場のドアが開いた。
「おはようございます、酒場やってますか?」
声の方を見ると、フード付きのマントを羽織った人が立っていた。黒いマスクをしていて、背も高く無かったが、低い声から男性だということがわかった。
チェルシーは、主人さーんお客様ですよーと奥の方に声をかけたがまだ口論が続いているようで、反応がなかった。
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