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よく見ると男は右腕に傷があり、血が滲んていた。チェルシーはちょっと見せてくださいと、その男の右腕を掴むとレオナの呪文を唱えた。
すると男の傷はみるみる塞がっていき、傷跡すらなくなっていった。
「おう!お嬢さんありがとう!何も買ってないのに申し訳ないなぁ」
しまった!またやってしまった。
チェルシーは怪我人を目の当たりにすると、できる限り治癒してあげたくなり、薬を売るより先に呪文で回復してあげることが多々あった。
じゃあまた来るねと、男は行ってしまった。チェルシーは、バタンと閉まったドアを見ながら、今度はちゃんと薬を売らないといけないなぁと、ぼーっと考えていた。すると、ふとテーブルの上にあったリーフレットが目に入った。
宮廷占い師募集
「えっ!こんなに貰えるの!?」
リーフレットには、ひと月50万GOLD(以下G)と破格の給金が記されていた。
チェルシーはまた、ため息をついた。
「いいなぁ、占い師さんは…私も未来のことが少しでもわかったらなぁ〜」
チェルシーは基本的に回復魔法しか使えないため、なかなか割の良い求人に応募することができなかった。今は、せいぜい酒場の隅で、傷ついた冒険者を治療して小金を稼ぐことしかできなかった。
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