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「湖には、もっと立派なツユクサがあったはずだよ。もう少しだから、せっかくだし行こう」
「え、んー…そうね」
チェルシーは、ここにあるもので十分だと思ったがアルバにそう言われたので、手を止めてまた歩きだした。
周りの森林は進んでもその景色を変えず、2人の足音と時々風が吹く音しか聞こえなかった。ポーチをぎゅっと握って、辺りを伺いながら歩くチェルシーとは違って、アルバはずんずんと進んでいっていた。
すると、ウォーンと遠吠えのような声が聞こえてきた。
「ちょっと止まって。……3匹いる」
アルバは歩みを止め、後ろのチェルシーに小さく言った。前を見ると、大きな狼がこちらに向って襲いかかろうとしていた。
アルバは懐から剣を抜き、前方に走り出した。そして、ズバッズバッと剣を2振りすると狼は倒れた。
「もう1匹はどこだ?」
アルバが辺りを見回し、残りの狼を探していると、後ろからきゃあという悲鳴が聞こえてきた。チェルシー!?っと振り返ると、1匹の狼とチェルシーが対峙している。
狼はグルルっと唸って、今にも飛びかかろうとしていた。
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