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チェルシーは狼を見ながら、慌ててカバンを漁っていると肩叩きの棒があったので、取り出して両手で握りしめた。
このままじゃダメ。やられちゃう。
チェルシーは無我夢中で肩叩きの棒を振り回すと、りんりんりんと音がなった。その音で、狼が一瞬怯んだ隙にアルバがズバッと狼を切って倒した。
「大丈夫かい?チェルシー」
チェルシーは答えられず、息を整えていた。あまりにも突然のことで、ふっと脱力して腰が抜けてしまっていた。
「あ、これか。これがりんりん鳴ったんだ」
肩叩きの棒を見ると、魔除けの鈴が絡まっていた。アルバは良かったねと顔を見るとチェルシーは泣き出していた。
「ものすごく……怖かった……ぐすん…すん…」
「ああ!?そうだよね!ごめんね。俺が未熟で危険な目に合わせてしまった。ほんとにごめん」
顔を伏せてしくしくと泣いているチェルシーをアルバはぎゅっと抱き寄せた。
「ほんとごめんね。でも早くここを離れないと、狼の血の臭いを嗅ぎつけた別のモンスターがやってくるから、ごめんちょっと失礼するね」
そう言ってアルバは、チェルシーを抱きかかえると来た道を帰り始めた。
「やっぱり今日は湖までいくのやめとこうね。ほんとにごめんね」
いやいや、こちらこそごめんなさいとチェルシーは言いたかったが、まだまださっきの恐怖が残っていたため言えなかった。
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