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「あら、こんな時間だ!酒場に行かなきゃ」
チェルシーは、毎週3日間午後の決まった時間に酒場に行っていた。酒場はチェルシーの家からすぐ近くにあり、情報交換の場だった。
こんにちは〜とドアを開けると、酒場の主人が出迎えてくれた。
「チェルシーちゃん、いらっしゃい。もうお客さん来てるよ」
いつもの席を見ると、治療目当てに何人か冒険者が並んでいた。チェルシーはお待たせしてすいませんと言いながら、席についた。
最初の客は吟遊詩人。夜な夜な王政の文句をうたう一見アブナイ人だった。
「今日も王に陶酔している奴らに追いかけ回されてんだ。この国の租税は狂っているよ、モンスターも減っていないし、こんなことなら魔王なんて倒さなくてもよかったんだよ!全く王に賛成している奴らは甘い汁をすってるんだよ!ブツブツ…」
チェルシーは酒場の主人に紅茶を注文しながら、聞き流していた。
「それで、どこか怪我をされてんですか?」
「怪我なんかしてないよ!」
え?どういうこと??
どうやらこの吟遊詩人は、若い娘に話を聞いてもらいたいが為に並んでいたらしい。しばらくブツクサ言うと満足してお金を払い席を立った。
なんだか最初からどっと疲れた感じ……
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