チェルシー=コンスタンツ

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 3番目の客は右腕を押さえながら、息を切らしていた。袖なしの服にマントを羽織っており、左手の薬指には銀のリングが光っている若い男だった。  「右腕が痛みますか?どこで怪我をされたんですか?」  チェルシーが聞くと、若い男は低い声で答えた。  「ああ…この街に出稼ぎに来たんだけど、さっきスライムと戦ったあと、痛みだしたんだ」  チェルシーがちょっと見せてくださいと、男の右腕を見ると大層立派なブレスレットが装着されていた。ブレスレットの周りをよく見ると、肌が青紫色に変色していた。  「これは!」  これはっと言いかけて、チェルシーは手を口に当てて飲み込んだ。青紫色はさらに男の脇の方に伸びようとしていた。  「いいだろう?このブレスレット。妻から貰ったんだよ。お守りだからモンスターと出会ったらすぐつけてってね」  男はブレスレットを擦りながら言った。  「あの、とても危険な状態なのでこれはすぐ教会に行きましょう。教会の場所はわかりますか?」  「え?教会なら知ってるよ。そんなに悪いのかい?」  チェルシーは頷くと、男のブレスレットを手持ちのハンカチで包んだ。そして、さっと手紙を書いて少しの傷薬と一緒に手渡した。  「これをシスターに渡してください。痛みが激しいようなら、この傷薬を少しずつ舐めてください。お代は大丈夫なので、今すぐ向って。早く」  男を見送ると、チェルシーは酒場の主人に塩を持ってきてもらうように指示した。  「あと、月桂樹はありますか?」  「月桂樹?そんなものはないなぁ。どうしたんだい?今の男、何か疫病でも持ってたのかい?」  チェルシーは首を振った。  「疫病より危険かもしれません」
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