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◇◇◇
「ーーと、いう事があったんだよ。婆ちゃん」
そして、現在に至る。
墓石に、花を添えた後。線香をあげ、しずかに手を合わせる。
「……また、来年も来るよ」
ゆっくりと立ち上がり、俺はその場を去る。
退院した後、俺はブラック企業を退職し転職した。
今の会社では定時で帰宅でき、ちゃんと休日も貰えているから充実した日々を、あれから五年間送れている。
今でも、宇宙さんの小説の挿絵を描かせて貰っている。
先日、宇宙さんを通じて、イラストレーターの〈チュー鼠〉先生と三人でご飯食べに行って挿絵の話しに盛り上がった。
そして毎回墓参りして、ふと思うことがある。
何故?ーーあの時、婆ちゃんが祠に行ったことを怒ったのだろうか?
今でも、分からないままだ。
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