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すると、
「━━な、なんだ!?コレ……?」
突然、視界いっぱいに広がる━━黒色。
それは、一つの塊じゃなかった。数個。いや、数匹がバタバタと四方八方と広がっていく。
訳分からない状況下。咄嗟に、小さく悲鳴を上げ両手で振り払う。
その時。掌に、ひらりと掠った。━━薄い感触のナニカ。
無意識にソレを握り絞めてしまった。
今、収められているソレ。この中に今回の怪異がいる。
そう認識すると、心拍数が上がっていき心臓の鼓動が激しくなっていく。全身に別の意味の汗が噴火の如く吹き出し止まらない。
内心、緊張しつつ握り絞めている掌をゆっくりと開いた。
「━━ッ、黒い蝶……?」
くしゃくしゃになった目の前の真実に、焦燥感、困惑などの感情が混じり合って思考回路が停止してしまう。それでも、更にソレは容赦無くきた。
《━━敦 ハ…やく、行かないト……カエれな……》
原形を留めていない、黒蝶からの声。それは、機械の複製音のような声色だった。
後に、砂になり消えていく。
「━━なんだよ……、意味が分かんねえ」
「それは、自分が居るべき本来の場所へ……って意味だよ。有間くん」
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