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「宇宙さんッ!?え……、なんで此処に??いや……、その前に今のはどういう意味で??」
突然、後ろからの声掛けだった。
居るはずの無い親しみのある人物の声に、背筋が氷点下に一気に下がる。
咄嗟に、振り返ると満面笑顔の彼。
「やっほ!有間くん☆━━それじゃ、行こうか!」
「え?……うわぁッ!!」
いきなり宇宙さんに右手を掴まれ、グイっ、と引っ張られた。
当然ながら、釣られて足も前進してしまう。ゆっくりだった歩きが、早歩きになっていく。
同時に、宇宙さんが右手を前方の景色へ翳す。
(━━何も無い景色にッ!?何故?)
「さぁ、一刻も早くしないと閉じられちゃうからね~。バレる前に、行くよッ!━━〈時空の放浪者〉!!」
そう叫んだ、彼。
すると、目の前が景色が━━ぐにゃりと歪み始める。
マーブル状になっていく風景。原形が崩れ、チカチカとうるさくなっていく視界。
時間と共に辛くなっていく、今。
気持ち悪さが沸騰し、胃液が込みあがり吐き気が生まれる。
反射的に俺は、━━静かに瞼を閉じた。
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